いわゆる12星座占いにおいて「当たっているような気もするし、そうでないような気もしてあまり信用ならない」と感じている方も多くいらっしゃるでしょう。
実はこういったことが起こるのは至極当然で、生まれた月だけでわかる”星座”は、性格ではなく「個人が社会で自分らしく活動するときの方向性」を表すものであるということをご存じでございましたか?
こちらの記事では、12星座占い(星占い)の源流とも言える西洋占星術について、現役の占い師がその全てを余すところなく解説いたします!
西洋占星術とは
まず西洋占星術とは、「ホロスコープ」と呼ばれる特定のタイミングにおける実際の天体の配置図を用いて、その人が本来持つご性格や性質、未来にどのようなことが起こりやすいか、さらには対人関係において、それぞれの人物がどのような相性かを読み解く占いということにございます。
ニュースや雑誌などで一般的に知られる星座占いでは、生まれ月によってわかる太陽の”星座”のみによって解説がなされていますが、西洋占星術では太陽を含めた10個の天体を使って占うことになります。
この「月、水星、金星、太陽、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星」の合計10個の天体も、その天体それぞれの配置によって、○○星座(サイン)という性質を持つことになり、これによって人間のどの要素がどんな性格付けをされているかということを測り知ることができるのでございます。
ホロスコープの要素
上述した天体を含め、ホロスコープの要素は大きく分けて4つあり、それが……
- 感受点(天体を含む占星術上で重要なポイント)
- 星座(サイン)
- アスペクト
- ハウス
……でございます。基本的にはこれらの要素の組み合わせによって、その人物における様々な事柄を読み取り、多くの知見を得ることができるのでございますね。
さらにそれぞれの「星座」は、「2要素」「3区分」「4元素」という各分類によっても振り分けることができ、それがその「星座」の性質を形作るとされております。
ここで注意しなければならないのは、西洋占星術における「天体」は全て実際の天体ですが、「星座」は、実際に夜空に見える星座のことではないということでございます。
西洋占星術における「星座(サイン)」とは、太陽の見かけ上の通り道である「黄道」を均等に12等分したものでございますから、360度の円で表されるホロスコープ上では、30度ずつに分けられる領域のことということになりますね。
西洋占星術の原理
ではなぜ天体の配置によって人間の様々な事柄がわかるとされているのかと申し上げますと、人間と宇宙は規模は違えど対応関係にあるという考え方である、「マクロコスモス(大宇宙)・ミクロコスモス(小宇宙)」という思想が関係しております。
これはつまり、「太陽」は「個人が社会でその人らしく活動するときの方向性」を象徴するといったように、それぞれの天体が人間の精神に対して対応関係にあるということであり、だからこそホロスコープは人間の心の模様とも言うことができるのでございます。
ちなみに、この思想と関わりがあると考えられる物理学の現象に「量子もつれ」というものがあり、これによって特定の構造を取れば、この世界の物質を構成する量子はどんなに距離が離れていようとも互いに深く関係していることが証明されてございますね。
厳密にはこの「量子もつれ」が直接占星術に関係しているとは言い難いものの、科学の視点から見ても遥か遠くの天体が人間に影響を及ぼしているというのも全くあり得ない話ではないというところまで来ているのかもしれませんね。
もちろんまだまだ解明すべきことは数多ございますが、ホロスコープの出生図(その人物が生まれたときの星の配置)が、その人物を表すある種の模式図であることは間違いないことでございます。
西洋占星術で言う「未来」
西洋占星術では、ホロスコープ上の天体が「星座」を移動するとき、あるいは他の天体と特定の角度を取るときに、何か特別な変化が起こるとして「未来」を予測することになります。
天体自体と移動した先の「星座」の象意、特定の角度を作った天体同士の組み合わせ、角度自体の意味などを考慮して、具体的に「どのようなことが起こるか」を考えていくのでございますね。
しかし、具体的にとは言っても、「このとき、この場所で、こういったことが起こる」と断言できるほど正確に何かがわかるわけではなく、言えるのはあくまで、「対象者の心理状況が、大体この期間に、こういった変化を迎えるようなことが起こる」というところまででございます。
このように大まかなところは決まっていても、実生活の細かい何かがわかることはございませんので、西洋占星術における「未来」とは「予言」ではなく、「予測」という考え方が正しいと言えましょう。
西洋占星術の未来予測技法
主流となっている未来の予測技法としては、以下の3つがございます。
- トランジット(経過):占う時点での実際の天体から、個人がどのような影響を受けるかを読み解く。
- プログレス(進行):一日を一年として換算し、誕生日から〇日後を〇歳の状況として読み解く。
- ソーラーアーク(太陽弧):太陽の進行速度に従ってすべての天体を動かし、状況を読み解く。
これらは互いに用途が異なっており、読み取れることにも違いがございます。簡単に違いを申し上げますと、「トランジット(経過)」は自らの外側から受ける影響がわかり、「プログレス(進行)」は自らの内側からの変化がわかり、「ソーラーアーク(太陽弧)」は社会での自分がどう変化していくかを知ることができます。
この読み取れることの違いに従い、複数の技法を用いて「未来」の「運勢」なるものを「予測」していくことが基本となりましょう。
西洋占星術の相性診断技法
人同士の相性を読み解く際には、「シナストリー」という技法を用いて、互いが互いにどのような影響を及ぼすかを見て参ります。シナストリーでは2人の出生図(生年月日を基にしたホロスコープ)を重ね合わせますので、それによって生まれる天体同士の角度を確認することとなります。
もう一つの技法として、「コンポジット」という技法もございます。これは2人の同じ天体同士の位置を、中間点に配置して新しいホロスコープを作り出すというもので、2人がどんなものを生み出し、どんな影響を外側から受け、どんな影響を外側に与えるかということを読み取って参ります。
このどちらを用いて相性を読み取る際にも、単純に「良い」「悪い」という二元論的な考え方で見ていくのではなく、「ここは調和的で、この部分は競合的で価値観が違うので、こういった工夫が必要である」といった、それらがどのような性質で、どうすればより良い関係を築けるかという考え方で見ていくことが大切でございますね。
西洋占星術が得意とすること
西洋占星術は「生年月日、出生場所、出生時間」という不変の情報を基にして占うものであるため、その人物の変わらない性質や、一定の長い期間における大枠の状況的かつ心理的変化、人同士の相性を見ることに適しております。
特に、自分が今人生においてどんな段階にいるのかという、大まかな地図としての役割を担うことができますので、その点はぜひ活用したいところでございますね。
また、何かが上手くいかないと思ったとき、原因とその間接的な対応策も読み取ることができますので、物事の根本原因に対処することもできましょう。
出生ホロスコープを読み解くときに気を付けること
「性質」「未来」「相性」のどれを読み解くにも重要となってくるのが出生ホロスコープでございますから、これを不足なく読み解くことが求められます。しかしこれによって読み解ける情報は多すぎるくらいで、ときには矛盾した事柄が出てくることもございます。
そのため、一つ一つの要素を細かく読み過ぎると1人の人物像としてまとまらず、要素がバラバラに積み上がるだけで混乱してしまいますので、必要な情報を抜き出して全体をできるだけ包括的に捉えることが大切となりましょう。
まとめ
西洋占星術で扱うホロスコープと呼ばれる天体の配置図は、人間の心の模様を表したもので、それによって人の様々な側面を占うものであることをお伝えいたしました。
「未来」を予測したり、「相性」を診断したりと応用的な使い方もできますが、何より重要なのは得た情報を今後のためにどう活かすかという視点でございます。
細かい部分に惑わされずに全体を見ながら、人間の心という複雑なものを捉えられるよう努めて参りましょう。